Ci-en

 

booth

いつもの薔薇の館。
カリカリと小気味よく響く筆記音。
隣にはお姉さま。
幸せだ。

さらに今日は、部屋全体にいい匂いが広がっている。
なんでも祐巳さまが同級生の武嶋蔦子さんに珍しいお香を貰ったので、
試しに焚いてみたそうだ。
普通お香というと、かなり好き嫌いがあったりするものだと思うけど、
この香りはどうやら薔薇の館にいつものように集ったメンバー全員に受け容れられたらしい。

隣にいる志摩子さんがつぶやくように言う。
「いい香り・・・・・・」
「ええ、お姉さま」
ほんとうに。
不思議に目が冴えて、ペンが進む。なんだか心が浮き立つようだ。
他のメンバーの様子もだいたい自分と同じようだったし、
この分なら今日の仕事は予定よりはやく終わるかもしれない。

・・・・・・。

そろそろ太陽が夕日に変身しようかという橙色の時間帯。
予想どおり、そろそろこの日のノルマが終わろうかというとき、
窓の外を優美にそしてどこか気だるげに眺めつつ紅薔薇さまがおっしゃった。
「オナニーって何かしら?」

ハザード。
お茶をふき出す由乃さま。
お茶を浴びつつ硬直する黄薔薇さま。
隣では鈍い音とともにシャーペンの芯を折ったお姉さま。
一瞬呆けたあとに百面相を展開する祐巳さま。
理性だけが研ぎ澄まされて動けない私。

「由乃にかけられちゃった・・・・・・」
「ごごごめんなさい令ちゃんちょちょっとびっくりしてしゃっくりが」
「あれ、芯がうまく出ないわ・・・・・・」カチボキカチカチカチボキカチカチボッキカチカチカチカチボキカチカチ・・・・・・
「おおな・・・・・・じゃなくておねえさま!オナ・・・・・・じゃなくてお茶を入れましょう!」
「・・・・・・」

「ちょっと。みんなしてどうしたの。そんなにあわてて」
凛とした声が響き渡る。
「私、そんなにまずいことを聞いてしまったのかしら?
 誰かきちんと答えてくれなくって?」

しん、と静まりかえる部屋。
ここまで順調すぎるほど仕事をこなせていたのが問題だったのかもしれない。
最後になってこんな発言が飛び出すとは・・・・・・。


そもそもの事の発端は「山百合会目安箱」。
広く一般生徒の意見を聞こうと儲けられたこの箱のなかに、
あろうことか「毎晩紅薔薇さまでオナニーしてますvv」なんて書かれた不埒な
「意見書」が提出されていたのだった。
そしてあろうことかあろうことか、紅薔薇さまがたまたまその意見書をご覧になり・・・・・・
その単語の意味を知らなかったのだ。

「どうしてみんなして口を噤んでしまうの?いったいこれはどういうことなのかしら?」
徐々に口調に怒りの(というかヒステリーの)片鱗が見えはじめている。
「誰も自分から言う気がないなら、ひとりひとり聞いていくわ」
こわっ。

「志摩子。説明してちょうだい」
「・・・そ・・・そんな、私だってしたことがありませんし・・・・・・」
「?・・・・・・答えになってないわよ」

なにげに聞き捨てならないことを聞いてしまった。
そっか・・・・・・シたことないんだぁ志摩子さん・・・・・・。じゃあ私g
危ない。

「令はどうなの」
「え!?どどどうって・・・・・・」
名指しでうろたえる黄薔薇さま。
「知っているの?」
「え・・・あ・・・えっとね、自慰行為のことなんだけど・・・・・・」
(令ちゃんのバカ!単細胞!直接的すぎ!)由乃さんが小声で叱咤しながらおもいきり横ひじでどつく。

「・・・・・・示威行為?」
いや、それは違います。


「毎晩私の名で示威行為をしているということ・・・・・・?
 よくわからないけど、これは個人のプライバシーと山百合会の沽券に関わる問題・・・・・・」
「おなぇさま!違うんです!」
「祐巳・・・・・・?」

「えっと、そんな大袈裟なことじゃないんです。でも、大袈裟でないわけでもないんですけど・・・」
「・・・・・・要領を得ないわね。はっきりなさい」
「やっぱり恥ずかしいことで、みんなが言いにくいのもわけないことで、
 意味がわかったらやっぱりおな・・・お姉さまはお怒りになるかもしれなくて、その・・・」

祐巳さま。さすがだ。説明しようとしてる・・・・・・。
「あの・・・・・・なんていうか・・・・・・その・・・・・・」
がんばれ!祐巳さま! 一同、期待を込めて見守る。

しかし祐巳さまが言葉を詰まらせたのを自分なりに解釈して紅薔薇様は、
「祐巳。気を使ってくれるのは嬉しいけれど、私は自分が世間知らずなのは心得ているつもりよ。
 今更そんなこと恥ずかしいとも思わないし、それをあなたに教えてもらって、感謝こそすれ
 怒る筋合いはないわ。遠慮せずに言いなさい」と。

・・・・・・ズレてる。思いっきり。

祐巳さまはだいぶ長いこと逡巡したあとに、顔をあげた。いつになくキリッとした表情で・・・・・・。
「お姉さま。口で言ってもなかなかわかるものでもないので、これから実演しようと思います」

え?


なんなんだ。なんなんだこの展開は。

はしたなくもテーブルの上に座り、スカートを腰までまくりあげた祐巳さま。
そしてそれを普段どおりに椅子に座って取り囲む面々。
祥子さまも目を丸くしながら縛り付けられたように着席している。

「おねえさまッ・・・・・・よおく、見ておいてくださいね・・・・・・」


「最初はァ・・・・・・こうやって、ハァ、胸をいじったりして・・・・・・」
左手でたくし上げるようにして揉んでいる。いきなり、けっこう激しい動き。
さすが紅薔薇さまの妹をしているだけあって少しくらい痛いくらいの方が好きなのかも・・・。

「くふっ・・・・・・っ・・・・・・っ・・・・・・ここを、軽くつまんだり・・・んんっ・・・して・・・・・・」
それにしても、あのあどけない祐巳さまにこんな表情があったなんて。
目を潤ませて、頬を紅潮させて、吐息をついて、自分の胸をいじって。
いつもとのギャップに妙に胸がドキドキする。

「だんだん体が熱くなってきたら、下着を汚れる前に・・・・・・」
座ったまま器用に動いて、片足からショーツを抜く祐巳さま。
Mの字に、脚を開く。左足首にひっかかったままのショーツが艶かしい。
誰ともなく、ごくりと生唾を飲み込む音がする。

「・・・・・・ゆ、指で・・・ふ・・・れて・・・・・・」
くちゅ、ちゅ・・・・・・くち・・・・・・。
意外なほど大きな音が響いた。
「や、やだ・・・いつもよりすっごい濡れっ・・・てッ・・・ぁ」
右手の指がそこの形をなぞるように動く。

「あぁ・・・・・・はぁ、おねえさま、もっと見て・・・・・・」
そういって人差し指と中指で、大事なそこを押し広げるようにした。
秘所が皆の前にさらけ出される。祐巳さまの・・・・・・すごく綺麗。
視線を感じたのだろうか。透明な液体がとろとろと静かにあふれでて、テーブルを濡らす。
「ふぇ・・・・・・でてきちゃ、ぅよぉ・・・・・・」
また、ごくりと生唾を飲み込む音が聞こえた。


ガタン!
大きな音を立てながら由乃さまが立ち上がり、
「こんなの見せられたら、もう我慢できない!令ちゃん!!」
「ちょ、ちょっと、由乃・・・・・・んんっ」
問答無用で令さまの唇をふさぐ。いきなりディープ・キスだ。
令さまも視線を泳がせていたのは一瞬だけ、すぐ由乃さんに答えるように首に腕をまわす。
「ぷぁ・・・・・・んんっんんっ、よし、のぉ・・・・・・」
「令ちゃん・・・・・・」
黄薔薇姉妹の年季の入りようを見せつけるかのような、激しいがそれでいて美しさがある大人のキス。
由乃さまはそのまま令さまを床に押し倒した。

「あ、あなたたち、いったいこれは・・・・・・」
祐巳さまから視線が逸らされたことで今更正気に戻ったのだろうか。
祥子さまも立ち上がり声を張り上げるが、もう黄薔薇姉妹は止まらなかった。
「お姉さまァ・・・・・・こっちを、向いてくだ、さい・・・・・・んっ」
「ゆ、祐巳・・・・・・」
「ここがぁ、ああっ、ん・・・・・・く、くりとりすで・・・・・・ここを触ると・・・・・・
 ああ、はあ、・・・・・・そうだ。おねえさま、おねえさまがここを触ってくださいませんか・・・・・・?」

ふらふらと祐巳さまに惹きよせられるように近づいていく紅薔薇さま。
「きてぇ・・・・・・、祐巳のここにふれてくださいぃ・・・・・・」
テーブルの前に跪くと、祐巳さまの秘所に顔をちかづけ、そっと指でそこに触れた。
「んんぁあああっ!おねえさまっ!」
「祐巳・・・・・・!んんっ」
祐巳さまは感極まったように叫び、自分のの前にあった祥子さまの頭をつかむと、そこに押し付けるようにした。
「く、くるし・・・・・・」
「おねえさまっ、なめて、なめてくださいぃっ・・・・・・」


もうすごい状態だ。
黄薔薇さま方に視線を戻すと、由乃さまはタイで器用に令さまの手首をしばり激しく熱く美しく責めたてている。
令さまも普段のミスターリリアンのミの字も見えないほどに頬を紅潮させ乱れている。
祐巳さまは腰をゆらしながら祥子さまの顔を押し付け嬌声をあげ。
祥子さまは苦しそうにしながらも夢中で祐巳さまのそこをなめあげ・・・・・・。

そして、志摩子さん。
私の愛しいお姉さまは、ギュッと握ったこぶしを口元にあて、小刻みに震えながら・・・・・・。
・・・・・・その足首までを愛液で濡らしていた。

足首から視線をあげると、上目づかいの志摩子さんと一瞬目が合った。目を見つめたままほほえんであげた。
びくんと体を震わし困り果てたように視線を落とす志摩子さん。
そしてスカートをできるだけ広げ夥しく伝った愛液を隠そうとするが、
既にスカート自体がグショグショになってしまってどうしようもない。
泣きそうな表情で、救いを求めるかのように上目遣いに私の顔をうかがう。

そんな仕草に私のなかの嗜虐性が猛然と首をもたげ私をかきたてる。
椅子から立ち上がり、ゆっくりと焦らすように志摩子さんの背後に回り・・・・・・その耳を口に含んだ。
「ひゃっ・・・・・・ああっ!!」
「かわいい、志摩子さん・・・・・・」
耳元で囁くと、またびくんと体を震わせる。


「ねえ、さっき言ってたよね、志摩子さん。シたことないって」
「んん・・・・・・の、りこ・・・・・・」
「それなのに、こんな、スカートがグショグショになるまで濡らしちゃったの?」
「ぃや、やぁ・・・・・・」
「どうしようもない淫乱だね」
後ろから右手をまわして濡れそぼったショーツのなかに入れる。
熱い・・・・・・。

「・・・・・・あっ!」
「ほんとにしたことないの?」
「無いわ、くっ、ふっ・・・・・・ほんとうよ、信じて・・・・・・」
「じゃあなんでこんなに濡れるの?シたことないのにこんなになるなんて、根っからの淫乱ってこと?」
「ち、ちがうの・・・・・・」
ああ・・・・・・。背筋がゾクゾクする。鼻を首筋にうめて匂いをかぐ。
いい匂いだ。ついでに舌も這わせる。白くて透き通った肌に、唾液の跡がくっきり。

「ぁあっ、ひっ・・・・・・。ちがうの、乃梨子。わたし、濡れやすくって。体質なの、それは。
 それで、下着の変えはいつも学校にもってきていて・・・・・・。
 乃梨子としゃべったり、手に触れたりしたら、それだけでもう、本当は、いつも・・・・・・
 でも、いつもはこんなに濡らさないの。信じて、こんなの初めてで・・・・・・おかしいよぉ・・・・・・」

・・・・・・。
この人は今自分が喋った内容がわかってるんだろうか?
オナニーはしたことがないのに、手を触れただけで?そんなことってあるんだろうか。
或いは、したことがないから余計に、かもしれないけど。

まあ、言葉の真偽はともかく。こうして考えてる間にも、右手はどんどん溢れるものを感じている。
考えるのは、後でいい。

「志摩子さん、もういいから。よくわかったから」
志摩子さんがエッチな娘だってことがね。
「だから、恥ずかしがらずにこっちを向いて。キスできないよ?」

ほっぺから目尻まで、何度も舌を這わせながら囁いた。


カシャ。キュシィーン。

「おねえさま、今度はおねえさまにも」
「ちょ、ちょっと祐巳・・・・・・ああっ」
「ほら、令ちゃん、イっちゃいなさい!ほら、ほらぁ!」
「あ、あ、あ、あああ、よ、よしのぉ・・・・・・あああああああっ」
「志摩子さんのおっぱい、すべすべだぁ・・・・・・手にすいついてくるよ」
「やっ、ああ、ぅ・・・・・・ん、・・・・・・んん、ふはっ」

カシャ。キュシィーン。

「おねえさまの・・・・・・綺麗・・・・・・」
「ゆみ、だめよ、そんなところ・・・・・・んぅ」
「まだまだぁ!もう一本!抜かずに!」
「よ、よしの、ダメェェェェェェェェェ!」
「私の唾液・・・・・・飲んでね・・・・・・」
「んんっんく、んく、んく・・・・・・乃梨子・・・・・・」

カシャ。キュシィーン。
「んっ・・・・・・」

「こふぉ、感じまふか?ここかな?んんっ。ここかな・・・・・・?」
「やめ、ああっ、・・・・・・ひっ・・・・・・んああっ」
「休んでる暇はないのよ!あと5回!目指せ全国!」
「ええっ!そんな、無理、死む・・・・・・あん、あぁっ、ぅわああああん」
「すごっ、まだまだどんどん溢れてくる・・・。志摩子さんどっかおかしいんじゃないの?」
「やだ、やだ、もうヤだぁ・・・・・・。なんで、こんな、わたし・・・・・・」

カシャ。キュシィーン。
「ふぅ・・・・・・いかに私といえどもそろそろ我慢が・・・・・・。皆さん激しすぎ」


「あは、ここだぁ。ここですよね、おねえさま。うふふ、イっちゃえ・・・・・・」
「や、あ、ゆみ、ゆみ、ゆみ、ああっ、ぁぁあああぁあああ!」
「そんなことじゃ花寺に伝わるドライオルガスムスの秘技は破れないわよ!しっかりしなさい!」
「由乃、いいかげんに・・・・・・ダメ、ダメだってばぁぁああああああああああっ!」
「志摩子さんはわたしのものだよね?そうだよね?」
「あん、あ、そうです、みだらな志摩子は、乃梨子のものですぅ・・・・・・」

カシャ。キュシィーン。
くちゅ、ちゅ・・・・・・くちゅ。

山百合会室を覗くことができる木の枝の上。
器用にバランスをとりながら、右手にはカメラ、左手には膣口。

「あのお香、ちょっと効きすぎかも・・・・・・。まあいっか」
カシャ。キュシィーン。
「さて、あとフィルム1本だけでも・・・・・・」



終わり
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